検索エンジンで[プラチナオープンハート]を検索したことのある人は、多くのサイトで売られている[プラチナオープンハート]の余りの安さに驚いたことだろう。チェーン付きで1,280円や1,980円といった値段で数多く販売されている。
1グラムで4,700円程度が相場のプラチナで出来たペンダントが1,280円買える訳もなく、説明書きを読むと
(本体)真鍮・ロジウムメッキ
などとなっていたり、あるいは[プラチナ処理]などと意味不明の説明があって本体の素材が何かを明記していなかったりする。
“(本体)真鍮・ロジウムメッキ”とは真鍮(しんちゅう:メッキがはげて肌に直接真鍮が触れると金属アレルギー反応を起こす可能性がある)で出来たオープンハート モチーフのペンダント トップにロジウムという金属でメッキをしたという意味である。プラチナが使用されているとは明記されていないから詐欺ではないのだろう。しかし、商品名が[プラチナオープンハート]や[プラチナクロスネックレス]となっていればプラチナ製と勘違いをするケースもあろうから、購入を考えている方は注意が必要だろう。
先般JJA((社)日本ジュエリー協会)の技術部会では前述のような“プラチナ”と謳われる廉価な製品を購入し成分分析を行ったところ、検査の結果本体は鉛スズ合金で、プラチナは全く検出されなかったという。
以下はJJA技術部会が発表した分析結果。
2007-06-11
技術部会
報告書〔プラチナオープンハート製品分析結果について〕
プラチナオープンハートネックレス、プラチナクロスネックレスと称してインターネットで販売されている製品をJJAで購入し、当該品2点とチェーンそれぞれを化学分析しました。
分析結果は次のとおりです。
本体の定量分析は、本体を溶解し、固溶体化のあと、分析します。
成分により、この素材は、通常アクセサリーに使われている銅入り鉛錫合金です。ハートとクロスで多少比率が異なっておりますが、この4つの化学成分(元素)以外検出されないことから、これは合金製造のおりの偏析(逆偏析)と考えられ、同一の鋳造素材を用いたものであると推定します。
Niが検出されたのは、合金に添加されたものでなく、めっき部の成分が検出されたものと思慮されます。
(参照:偏析 ジュエリー用語事典306ページ)
製法はキャスト製で成型後、バレルでよく磨き、バフ研磨をして、ニッケルを厚くめっきしているものと思います。
銅が含有されていますので、鉛錫合金の中でも融点が高いと思いますが、一般に鉛錫合金はラバーキャスト製法ですが、この合金の融点が400度以上であれば、ロストワックス製法であるかもしれません。
(参照:ラバーキャスト ジュエリー用語事典392ページ)
表面めっきについては、蛍光エックス線検査によると、プラチナの反応はありません。
チェーン部分は蛍光X線分析で表の元素が検出されていますが、表面からはプラチナやロジウムの反応はありません。
この分析結果から推定すると、チェーンの素材は銅、表面をニッケルで厚めっきし、最終表面はスズめっきの可能性があります。
スズめっきは、鉄にかけたものがブリキと言われ、よく知られています。このチェーンの色は、ブリキに似ているようです。
(参照:スズ ジュエリー用語事典80ページ : スズめっき 同428ページ)
なお、刻印は、本体及びチェーンとも見当たりません。
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