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ブリンクハウス・ジュエラー / エカティ ダイア販売の様子
- 独自ルートでダイアモンド鉱山の開発・採掘・販売を手がけるブロークン・ヒル・プロパティ(BHP)は、従来のダイアモンド流通経路にとらわれず、鉱山会社として、最終消費者へより近い形での販売を拡大している。昨年10月より地元オーストラリア国内向けにネットと電話を用いた小売りに乗り出したのを初め(弊誌Vol.52)、今年に入ってからは同社が事実上所有するエカティ鉱山のあるカナダで、大手宝飾店への裸石供給を開始している(同Vol.73)。
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- 先週、BHPより直接ダイアモンドの供給を受ける宝石商ブリンクハウス・ジュエラーのバンクーバー店を訪ねた。取材協力をして頂いたので、様子をお伝えする。
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- 入り口に鍵を掛け、人物を確認してから来店を許可している同店は、店内が顧客で込み合うと云うことはなく、来店者はゆったりとしたカウチに腰掛け、専門知識をもった販売員の説明をゆっくりと聞くことが出来る。
- ちょうど地元新聞に同社とエカティダイアモンドが取り上げられた直後との事で、毎日5組程度はこのダイアモンドを目的に来店があるという。接客に際しては、BHPが標準で添付している3枚の証明書について述べ、カットの良さはハートアンドアローのスコープを用いて説明するという。
- 3枚の証明書とは以下の通り。
- ◇ ノースウェスト準州、州知事の署名した産地証明書
- ◇ AGSのグレーディング レポート
- ◇ ジェムプリント
- この三枚の狙いは次のようなものであろう。
- まず、ダイアモンドに「顔」を持たせると云うこと。つまり、どれも同じように見えるダイアモンドの裸石に、ひとつひとつの石固有の情報であるジェムプリントの情報を入れ、また州知事名という権威を盛り込む事で氏あらたかな素性をアピールし、「このダイアモンドはあなただけが持っている、特別なダイアモンドです」と訴求する狙い。
- 次に、カット評価にGIAより踏み込んだ表現を用いるAGSのグレーディングレポートを用い、またハートアンドアローのスコープで目の前で視覚に訴えるプレゼンテーションにより、高品質性をアピールする狙い。
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- まだ始まったばかりの新しいダイアモンドの流通形態だが、今後、この戦略が業界最大手デ・ビアスの戦略にどのような影響を与え、それが消費者にどのようなメリットをもたらすか、今後の動きを注視しつつ、また弊誌で述べていきたい。
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- (1936年創業のブリンクハウス・ジュエラーは、バンクーバーの代表的ジュエラーである。カナダの主要都市に店を構え、バンクーバーにはウォーターフロントと呼ぶ商業地区と、ホテルバンクーバーに出店している。今回話を伺ったのは同社エカティ産ダイアモンドの販売責任者、シャレン ユーレンさん。GIA及びHRDにて宝石学を学んだ経歴をお持ちであった。共通の知人が居たこともあり、およそ2時間にわたって快く取材に応じて下さった。ご協力に感謝したい。)
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- [宝石学の世界]--Vol.75-20010515より
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