ヒョウ オパール
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- 温泉に行こうと誘われた。四輪駆動車でないと入っていけない山の中にある天然湯で、橋無き川を2つ車で押し渡って行くという。勿論快諾。
- 当日。朝の5時にバンクーバーを出発した。この街はカナダ有数の都会であるけれど、車で2時間も走れば自然の中に身を置くことが出来る点が気に入っている。およそ5時間で到着。車を止め、10分ほど緩い斜面を降りると川にでた。温泉は河原にあった。川岸の崖からおよそ70度位かと思われる熱湯が細い滝として落ち、川の水と混ざりって程良い温度となっていた。もともとは木こり達が発見したものといい、一抱えある大きさの河原の石を重ねて湯だまりが作ってある。
- 予想した通り他に誰もおらず、のびのびと湯に身を浸した。日本酒を瓶ごと湯に入れ、熱燗にして飲んだ。極楽気分。
- 小一時間もたった時だろうか。林間からこちらを見ている動物に気がついた。リンクスと呼ぶ山猫だ。特徴的なピンと尖った耳からそれと分かる。成獣でも10kg程度という予備知識をもっていたから襲われる危険は覚えない。カメラに手を伸ばしている間に逃げてしまったが、同行した在カナダ20年の友人も4,5年に一度見るか見ないかというから珍しい動物を見たと云えるのだろう。
- さて、そんなことがあった後にこの稿を書き始めたので山猫にまつわる宝石をと考えたが、思いつかない。そこで同じ猫科の動物、ヒョウの名を冠したオパールを紹介する。レオパード(豹) オパールである。
- 私がそれを初めて見たのは1997年であったと思う。当時新しくメキシコで発見された鉱山から採掘されたものであった。 レオパード オパールは流通名で、これは一種のボルダー オパール(オパールが母岩と共に研磨されたもの)である。母岩を豹の体色とするならば、その豹柄に相当する斑点状にオパールが点在している。石を見て、なるほど上手い事をいうと思った。
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宝石学の世界Vol.164より
(Posted:03/06/24)
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