7月22日付けの朝日新聞朝刊に ソニー、手作り限定モデル 「宝飾ウォークマン」 の見出しがあった。
Vertuの携帯電話よろしく数百万円の富裕層向けウォークマンか、あるいはある種の若者をターゲットにした数十万円のウォークマンかと思って記事を読むと何のことはない、スワロフスキー社製のクリスタルガラスを蓋にあしらった15,800円から24,800円のE010シリーズを7月17日からから9月18日の期間限定で受注するという記事だった。
広辞苑で“宝飾”を引くと「装飾品として用いる宝石・貴金属の総称」とある。ウォークマンには恐らく微量の貴金属が使われているだろうが主たる構成金属ではないからウォークマンが貴金属で出来ているとは言えない。また宝石と呼ぶ為には希少性のある天然素材であることが条件だから、スワロフスキーのクリスタルガラスは宝石ではない。従って今回発表のあったウォークマンは宝飾品ではない。
この朝日新聞の記事で消費者の利益が損なわれる事は考えられないが、それでも天下の大新聞たる朝日新聞の記事にしては“宝飾”の使い方が余りにもお粗末過ぎる。
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情報は正確な表現をしないと誤解を招く。誤解を招く表現は情報発信者のモラルと知性を疑わせるのみならず、小売店がそのような表現を使った場合には、将来誤解であることが解けた際に販売者に対する不審につながる事が多い。宝飾品の多くは高額であり、且つ顧客の大切な思い出の品になる事が多い。正確正直な情報開示が顧客の持つ小売店への信頼を高め、そのビジネスの継続的発展の為に肝要である事は弊誌でも折に触れ記している通りである。
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