鉱物とは
鉱物の定義は研究者によって多少異なりますが、一般的な鉱物の定義は次のようなものです。
◆定義:
- ◇自然界に存在する無機物質(*1)
- ◇一定の化学組成がある(*2)
- ◇通常結晶構造を有する(*3)
(*1)人造物質は鉱物ではありません。人造物質には、自然界に存在する結晶を人工的に作りだしたものと、自然界には存在しない(少なくとも今までに発見されたことはない)結晶があります。レーザー素子として開発、利用されているイットリウム アルミニウム ガーネット(YAG:ヤグと発音)などは後者の代表的な結晶です。
(*2)化学組成とは、その物質を構成する原子の種類と相対量です。
(*3)結晶構造とは、原子が規則的に配列している構造を指します。全ての鉱物は7つ(分け方によっては6つ)の構造に分類でき、これを結晶系と呼びます。研究者によって鉱物の定義が異なるのは、「通常」の文字が入るか、入らないかです。例えば天然ガラスであるオブシディアン(黒曜石)。これは火山活動に伴う噴出物が、空気中で急速に冷却されて固化したものですが、急冷されたために、原子が規則的に配列する時間がありませんでした。つまり、オブシディアンは結晶構造を有しません(*4)。日本の多くの鉱物学のテキストには「通常」が入っておりませんので、天然ガラスは鉱物とは分類されませんが、アメリカでは比較的多くの研究者が「通常」の文字を入れ、天然ガラスも鉱物としています。
(*4)原子が規則的に配列していない構造を、「非晶質」と呼びます。