合成樹脂の検出には、赤外線分光検査が必要です。高価な機器ですので、
小規模の鑑別機関では、持っていないところもあるほどです。
●ジェイダイト(ヒスイ)
個人レベルでの判別方法についてですが、私は、もし業務として鑑別書を発行するのならば頼らない方法ではありますが、合成樹脂含浸を見極める目安として、1つ記します。
これらの処理は、前処理として、漂白が行われます。これにより、ジェイダイトを構成する結晶間(ジェイダイトは結晶の集合体です)の有る程度の耐酸性の低い不純物や、石表面の酸化鉄のシミ(錆色をしています)がもしあれば、除去されると考えられます。 除去された不純物があった空間、そしてジェイダイトを構成する結晶間に合成樹脂が含浸する事になります(また含浸前には熱を加えておき、結晶間の空間を広げておくということもされるという報告を目にしたこともあります)。空間が無色材で埋められれば、毛細管現象により、その部分にも有色の物質が有るかの如くみえ、色目と、そして光沢が向上するという事になります。内側の青いプラスチックのコップに入れた水の色の見え方と同じです。
さて、その様な処理を経ておりますから、まず、石の表面に酸化鉄のシミが有れば、未処理の目安になります。また、ルーペで(出来れば高倍率の顕微鏡で)表面を、強く光を当てながら観察すれば、空間を埋めた不自然な光沢を示すワックス、あるいは合成樹脂が観察される場合もあります。あるいは、私自身は行ったことは無いのですが、ホットポイント、身近なところでは「はんだごて」を熱した状態で代用できますが、これを石の近くの寄せ(石にはくっつけない)、臭いをかぐ事も有効だという意見もあります(特にワックスやポリマー等)。
●トルコ石(ターコイス)
トルコ石に関しては、漂白はしない(つまり酸化鉄云々が当てはまらない)、熱は加えない等の違いがありますが、基本的な考え方は上記と同じです。ただ、石自体、天然のものは、着用を経ると、退色してゆくという宿命もあることから、処理の功罪についてはおのずと意見の分かれることだろうとは思います(ご質問の内容とは違うことでした。失礼しました)。
本件については、GIAのジェムズ&ジェモロジーに晴らしい論文があります。ザガリー処理と呼ばれる新しいコンセプトに基づいた処理の検知に関するものです。仕事としてトルコ石を扱う方は必読であると私は考えています。ご参考までに記します。