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■宝石学の世界□□★□□
□□□□□□□□□□□□………………………………………………Vol.354-20090304
ご購読ありがとうございます。
▼ INDEX ………………………………………………………………………………………
1. 故イブ・サンローラン氏が所蔵、ムガル帝国時代の宝飾バックル
2. 今年のツーソン・ジェム・ショー俯瞰(ふかん)
3. スリランカ宝石便り その19 〜スリランカ特有の宝石、シンハライト〜
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1. 故イブ・サンローラン氏が所蔵、ムガル帝国時代の宝飾バックル ∽∽∽∝∽∝∽
クリスティーズが主催し、2月23-25日(日本時間24-26日)にパリで開催さ
れたフランスの服飾デザイナー、故イブ・サンローラン氏が所蔵していた美術品類の
オークション。出品されたネズミとウサギの銅像※が大きく報道されたから、ご承知
の方も多いだろう。
世間の耳目はこれらの銅像に集まったが、私はこのオークションに出品された、1800
年代のムガル帝国時代のバックルに注目した。小さなダイアモンドが数多く留められ
ているが、研磨技術の進んでいない当時のダイアモンドの使われ方を目にすることが
できて興味深かった。
ダイアモンド研磨業界の革新的新技術であったスカイフと呼ばれる回転研磨盤が1400
年代に発明されたことで大幅に進歩した研磨技術は、このバックルがつくられた1800
年には既に対称的に平らな小さな面(ファセット)でダイアモンドを囲む技術を確立
していた。 といっても1800年初頭に馬が、次いで蒸気が動力となるまでは人力でス
カイフを回していたから、生産性は非常に低かったのだろう。 当時の作というこの
バックルをみると、ポイント・カットの石も散見されるものの、原石の形状をそのま
ま活かしたものや、マクル(※2)をはじめとする原石の角を削っただけと思われる
ダイアモンドも多い。古い時代のダイアモンドの使われ方を示す貴重な実例だ。
この宝飾バックル、直径は12cm、およそ280万円(22,500ユーロ)で落札された。
※ネズミとウサギの銅像は1860年代の第二次アヘン戦争の際に英仏連合軍が清朝の
離宮「円明園」 から持ち出したもので、中国がオークションの中止を求め返還を
要求していた。それぞれ約19億5千万円(15,745,000ユーロ)で落札されたかと
思われたが、今度は落札をしたという中国人男性二人が略奪品に金は払わないと記
者会見を開くという事態となった。
※2:マクルの写真
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/ma/macle.html
▼このバックルの写真はジュエリーニュースアップデートから記事をクリック
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2. 今年のツーソン・ジェム・ショー俯瞰(ふかん) ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
今年のツーソン・ジェム・ショー※について、GIAインサイダー電子版でロバート
ウェルドン氏は、次のように述べた。
・売上は、前年比で平均30%程度落ち込んだ。ディーラーによっては50%減。
・ルビー、サファイア、エメラルドの特品は、前年以上の値で売れた。
・トレンドに対応する為と思われるが、ブルー系の宝石の販売が伸びた。
▼GIAインサイダー電子版
http://www.gia.edu/newsroom/18653/gia_insider.cfm
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http://www.giajpn.gr.jp/ec/entry/kiyaku.php
※:ツーソン・ジェム・ショー
http://www.yk.rim.or.jp/~ofukumot/gem_encyclopedia/ta/tucson.html
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3. スリランカ宝石便り その20 〜スリランカ特有の宝石、シンハライト〜 ∽∽
シンハライトという言葉はスリランカという国を指す「シンハラ」という言葉が由来
です。屈折率や比重が近いことから長い間、ペリドットとして扱われていました。
シンハライト 屈折率1.67−1.71 比重3.48
ペリドット 屈折率1.64−1.69 比重3.34
複屈折量はどちらも同じく0.036と大変大きいです。その為、顕微鏡でテーブル
面から覗いた時にパビリオンのファセットが二重になってみえます。
ご存知、ペリドットの色はオリーブのような緑色ですが、シンハライトは淡い黄色が
かった茶系から帯緑褐色、濃い褐色です。この色の違いは含まれる鉄分によるもので
色の濃いものほど比重が重くなります。希少石のひとつとして、ルースコレクターに
は魅力的な宝石となっています。宝石質のシンハライトはスリランカで産出されます
が、ペリドットはあまり産出されません。(ペリドットが産出された記録はあります
が、現在のスリランカの市場で取引されているペリドットの多くは近隣諸国から来た
ものでしょう)。
スリランカは砂礫層なので、産出されるシンハライトは丸くその結晶の形は失われて
います。
研摩された後は、ガラス状の光沢な為、照りのある強い輝きがあります。
残念ながらジュエリーとしてシンハライトはあまり使われていません。確かに硬度が
6.5(ペリドットも同じ)とあまり高くありません。 しかし、美しく研摩された
シンハライトは輝きがあって大変魅力的なジュエリーになると思われます。
片山新子(かたやま しんこ)、FGA
個人の楽天ブログ「スリランカ宝石留学物語」
http://plaza.rakuten.co.jp/gemgasuki
▼片山さんへの連絡・感想や、シンハライトの写真
http://weblog.gem-land.com/?p=201
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※敬称を省略しました。
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