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サーバの内部エラー

 

サーバの内部エラー
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  真珠の穴、宝石の穴

 
 

ほとんど気にしない真珠や珊瑚、宝石の穴。しかし、大変重要なそれらの穴の話題を追ってシリーズでお届けします。

真珠の穴あけ作業

 貝から取り出した真珠は浜上げ(浜揚げとも書く)珠といいます。およその大きさ、形状、色、巻きなどで大別して加工業者に回されます。

 加工屋は真珠の傷の大小、傷の位置、形、巻きなど一個一個を確認しながら、その真珠を品質や用途別に仕分けていきます。そのあと、真珠は穴をあける工程に回されます。

 伊勢や神戸など真珠加工の本場には、真珠の穴あけだけを行っている、穴あけ専門業者がいます。ベテランになると1日何千個もの真珠に穴をあけていきます。しかし、真珠にむやみやたらに穴をあけているわけではありません。

 片穴の場合、これから穴をあける真珠を指先に掴み、その真珠の一番照りの良い箇所や傷の具合を瞬間的に識別して、その反対側などもっとも適した箇所に穴をあけていきます。両穴の場合は、照りの良い箇所が横の位置になるように穴の位置をきめます。バロックの場合は特に微妙です。

 良い品質の真珠も、変なところに穴があけられてしまえば、価値を下げてしまいますから、この穴あけ作業の上手下手は真珠を生かすか殺すかという大事な作業です。

穴径

 真珠業者は無穴真珠を、ND(Non Drill)、片穴はHD(Half drill)、両穴はDT(Drill Threw)の記号で表しています。

 アコヤガイ真珠の穴は基本的に0.7mmの直径で、片穴は真珠の大きさの3分の2まであけます。

 両穴は片方から半分まであけたあと、反対側から残りをあけます。貫通している一つ穴なのに両穴という意味はこのためです。これは片側からドリルを通してしまうと、最後に通り抜ける時に真珠が欠ける惧れがあるからです。両方から中心に向かって狂い無く穴をあけていくことは、不思議と言えば不思議に思います。穴あけ機の精度と作業者の技術が高いからです。
真珠にあけられた穴は、製品への装着のためのほか、真珠の仕上げ加工に重要な意味があります。

 浜上げされた真珠は、表面のぬめりなどをとったあと、真珠核と真珠層の間にあるシミや不純物を除く(漂白)ために薬品液に入れます。また、真珠の色を引き出す調色をします。時には、染料につけ、色をつけることがあります。真珠を美しくするためのこれらの加工の際に、穴は薬品を浸透させるという重要な役割を担っています。

 この加工の良し悪しが真珠の輝きや色に影響を与えます。この技術が真珠加工業者のノウハウです。色が退色してしまう真珠、照りがすぐになくなってしまう真珠はこれらの技術不足が原因です。かつて日本の独壇場だったのですが、その技術は海外に流れてしまいました。

 ネックレスになる真珠は、厳密に形と大きさと色と巻きに分けられ、熟練者が真珠の一個一個を選別しながらネックレスに組んでいきます。業者はネックレスを連と呼びます。その時の穴は、最初にあけられた0.7mmの大きさのままです。しかし、通常のネックレスは糸をクラスプの環に巻いて数個の珠に折り返しの糸を通します。そのとき、0.7mmの穴では糸が通らないので両端の数個の真珠は穴を大きくしておきます。また、いわゆるオールノットという珠と珠の間に糸でこぶを作る連の場合は、全ての珠の穴は大きくあけなおされています。

中国の穴あけ

 中国産の真珠は、0.6mmや0.5mmと日本より小さい穴があけられています。これはあくまで噂ですが、中国の養殖真珠の核は日本では用いないような端材や不良品まで用いるので、穴あけのとき割れやすく、抵抗を少なくするためになるべく小さな穴にしています。

 また、両穴は日本では前述のように片方からあけたあと、反対側からあけて貫通しますが、かの国では一気に穴を通してしまう穴あけ工場が多いので、穴が欠けているものがあります。

 中国産、中国での穴あけの真珠を日本で穴をあけなおす必要がある場合、日本の真珠加工業の作業者は大変嫌がります。それは、前述のように穴あけの際に核が割れる惧れがあるからです。責任を持たないと言う条件で受けても、結局問題発生のことを思うと避けたいのが本音です。

片穴の穴径

 リングやブローチにつける場合の真珠は、製品加工をする職人さんたちが金具の芯の太さに合わせて、真珠の穴をあけなおします。

 真珠の大きさが7mmから8mmくらいまでは、0.8mm〜0.9mmの穴径、10mm以上や、あるいは南洋真珠など大きな真珠は、1.0mm〜1.2mmの穴径をあけ、芯もそれにあわせて作られています。

 それなら、真珠の大きさに合わせて最初からその直径の穴をあけておけば良いと思いませんか。それは、真珠の取引は重さ(モンメ)が基準となっていますから、大口取引となると穴あけによる減量分も価格に影響を与えますから、経済上は小さいほうが有利です。

 真珠の片穴が3分の2まであいていると述べましたが、そうすると製品の芯もその長さであることが、確実に真珠をセッティングする効果的な条件の一つです。

 大手の真珠業者は、細工作業現場にその芯の長さを指定しています。見えないところまでお客様のためを思っているからです。その会社では、出来上がった製品を、時々X線検査で真珠の中の芯の長さをチェックし、作業に手抜かりが無かったか確認しています。さすがですね。

 南洋真珠の場合は無穴の状態で輸入され、枠のセッティングに回されますから、加工屋さんが穴をあけることになりますが、一個一個の値段が高いため、穴あけ工賃を吸収できます。でも、選別眼も穴あけ技術も要求されて職人さんも大変です。

穴あけ針

 真珠の穴あけに用いるドリルの刃は、先端が三角形の鋭利な刃を持つ真珠穴あけ用の特殊な形状です。炭酸カルシウムである真珠をしっかり素早く削ることができます。このドリルの刃は真珠用具専門店で販売しています。また真珠の専門加工場では専用の研磨機で研いでいますから、加工本場では当然この刃先のドリルを用いていますが、東京では宝飾専門の工具店でも販売していません。従って、東京の真珠専門以外の職人さんたちは、通常のドリルの刃(螺旋状の刃など)を用いていますから、スピードも切れ味もかなり劣ります。 

 また中国の話を引きあいに出します。硬い針も長く用いると刃先がへってきます。それでもお構いなく作業を続けるために、最後には穴が変形したり、針径より大きくなってしまいます。ひどいものは入口の穴径と反対側の穴径が異なっているという何とも不思議な穴があります。

 これらのネックレスをお客様がお買い上げのあと、クラスプを装着するために前述の端の数個に穴をあけなおす必要がありますが、糸通し(クラスプ付け)作業者は、中国産の真珠の加工には及び腰です。なぜなら、穴のあけなおしのとき真珠核が割れることがあるからです。

 それでも穴をあける必要がありますから、穴あけ加工を受ける業者がいます。その時の工賃がけっこうな値段になります。単にあけなおすだけで何故そんなに高いのかと思うのは依頼する立場の人たちです。特に、ネックレスの珠を用いて他の石やビーズを足して連を作る場合は、連の全ての珠をあけなおさなければなりませんから、場合によってはネックレスの価格よりも穴のあけ直し代の方が高くなるという、思いもよらないことも起きます。

芥子の穴

 小さなケシのネックレスがあります。無核の1〜2mmの変形の真珠ですから、その中心にあいている穴は多分0.3mmくらいではないでしょうか。計る機会がありませんが、これだけ小さな穴をあける技術は日本にはありません。ミキモト真珠島の資料館にはその技術はインドにあると解説されています。 

 今の日本のように穴あけ機やボール盤を用いているわけではありません。ろくろとんぼと呼ばれる、刃先を取り付けた縦軸に横軸にした棒を上下することで縦軸についている紐を軸に巻いたり逆に播いたりすることで軸に回転を与えます。つい最近まで手作りの職人さんは地金の穴あけに用いていました。今でも、石留め職人さんがメレ穴の最終調整に利用していますが、若い人はこの昔からの道具を使いこなすことが出来なくなっています。その道具を、インドでは子供たちまでが上手に使って真珠に穴をあけているそうです。

 きっと真珠を何個も何個も割って修練し、怒られながら熟練者に成長していくのでしょう

穴は傷?

 余計な感傷ですが、真珠に穴をあけると言うことは、真珠に傷をつけるということに等しいので、貝から取り出した最も品質の良い花珠などに穴をあけることは、私は身を切られる思いがします。

珊瑚の穴

 一昔前、珊瑚の丸玉を作るには、珊瑚の枝を輪切りにし、穴をあけてそこに串棒を取り付け、手で砥石で丸く削っていました。一個一個大変な作業でした。

 従って丸い玉も真円ではなく、また穴が中心に通っていないために、ネックレスの状態で垂らして回転させてみるといびつに回ります。

 40数年ほど前から、丸玉の研磨機が導入され始め、それからは輪切りの状態で荒削りのあと、円盤の円心状の溝に入れて上下から挟んで回転させながら整形研磨する方法が取り入れられました。

 一定の同じ真円の珊瑚が早く大量にできるようになりました。穴は丸玉が摺り上がってから最も適当なところに後からあけるように工程がかわりました。ですから、現在の珊瑚のネックレスは垂らして回転させても芯がいびつに回ることがありません。

 もし古い丸球の珊瑚のネックレスがあれば、垂らして回してみて下さい。回転がいびつであれば、新しい研磨法以前の製品、すなわち昭和40年代以前である可能性が高いということが推察できます。

ジュエリー雑学や  T.Kawasaki

 
                      

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