□ ホワイトゴールドの現況と原因
ホワイトゴールドは白色系の金合金である。これは世界的な定義であり、今後も替わることはない。
しかし、現況市場には黄色みの強い素材を、ホワイトゴールドと称して製品に用いているものがある。
これは2つの原因が考えられる。
金を白くするための割り金(漂白材という)の1つであるパラジウムが暴騰し、コスト上昇のため市場で受け入れられないほどの高値となった。(パラジウムの最高値は 3,710円 東京工業品取引所2001年 1月29日。ちなみに最安値は 326円、1992年 8月14日)
もう1つの漂白材のニッケルがアレルギー問題から使用禁止であると間違った風評のため、使用が忌避され、多くのメーカーでは素材に用いなくなった。
この2つの重要な割り金の使用ができなくなったが、市場ではホワイトゴールドの人気はますます高くなり、現在ではプラチナを凌駕するほどの生産量となっている。
これらの事情により、メーカーからパラジウムやニッケルに替わる割り金でのホワイトゴールド素材が地金商に求められた。しかしこれに替わる金属は容易に見つからず、止むを得ず黄色みの強い素材にロジウムめっきをかけて、ホワイトゴールドと称して市場に供給されるようになったのが実情である。
しかし、一般消費者からめっきの磨耗や剥離後に黄色の素材があらわれ、ホワイトゴールドではないとのクレームが全国で相次いだ。
小売店は自己防衛のため、あらかじめ、めっきをはがした製品を客に見せて、このホワイトゴールドは色調が黄色みであることを承諾の上で販売しているという、まさに本末転倒の事態まで発生した。
JJAでは、この問題に対して徹底的に調査と研究を重ね、正しい倫理観と、夢を育てるために、冒頭のホワイトゴールドの定義を平成16年10月に発表した。
□ ホワイトゴールドは白色系の金合金
ホワイトゴールドは、白色の金合金をいう。世界的な定義を改めて発表しなければならない状況はまことに残念だが、業界としてこの基本を充分認識して対処することが重要である。
この場合、完全な白色(明るい無彩色)であるべきだが、割り金によっては少しの灰色を帯びるので、白色系と表示している。
その色の範囲(白色度の限度)を、数値で表したのが次に述べる、デルタEである。
■ 白色のめっきでホワイトゴールドと称することは不当な表示
めっきは製品の色調の美観、光沢、耐磨耗性、防錆力等の向上を目的として行われる。カラーゴールドは本来めっきを行わないが、ホワイトゴールドについては美観のためにロジウムめっきを行うことがある。この場合、素材が白色系の金合金であれば、ホワイトゴールドと称することは正当である。
しかし、黄み、赤みなど色みのある金合金をロジウムめっきし、WGの打刻がされているか否かにかかわらず、ホワイトゴールドと称することは完全な不当な表示である。
もしそのような素材が販売されたなら、それは消費者を欺く行為であり不当商行為に当たる。
また、本来のイエローゴールド製品の一部をツートンカラーの効果のためにロジウムめっきをすることがあるが、その場合もその部分をホワイトゴールドと称してはならない。
この定義は、他の色の表面処理にも適用される。
例えば、素材の色に関わりなく、強制酸化による黒色の表面を持つ金合金素材を、ブラックゴールドと表示することは適切でない。
■めっきの表示
正当なホワイトゴールドにロジウムめっきをかけるなど、貴金属にめっきを行う場合には、材質品位の表示に加え、めっき加工の表示をすることが望ましい。
*元素記号にめっきを表す Pを付け、本体表示に続ける。
例:
Au750(K18)WG にロジウムめっき Au750WG RhP
Au750(K18)YG にロジウムめっき Au750 RhP
Au750(K18)YG の一部にロジウムめっき Au750/Au750 RhP
最近採用されている、黒ルテニウムメッキの場合
Au750(K18)YG に黒ルテニウムめっき Au750 BRuP
Au750(K18)YG とその一部に黒ルテニウムめっき Au750/Au750 BruP
貴金属素材に用いるめっき記号
金めっき |
GP |
パラジウムめっき |
PdP |
プラチナめっき |
PtP |
銀めっき |
AgP |
ホワイトゴールドめっき |
WGP |
ルテニウムめっき |
RuP |
ロジウムめっき |
RhP |
黒ルテニウムめっき |
BRuP |
□技術部会では、めっきは鍍金と言う日本語であるので、メッキでなく「めっき」を用いている。
* [ホワイトゴールドの定義の注釈]
□ホワイトゴールドの色の範囲
ホワイトゴールドの色の範囲(限度)は、ab方式で E0〜14とする。
この表示方法は、ホワイトゴールドなど金合金の色を、分光式色差計で明るさと色みを3次元(Lab)にわけて計測し数値化する。
この計測値を、ロジウムメッキを基準(0点)としてL、a、b を算出し、その数値を元にE を導きだす。その数値をホワイトゴールドの色の範囲とする。
参考:次に示す貴金属合金の色はいずれもEで14以下である。
- Pt900(Pd100)、Ag925(Cu75)、 K18WG(Pd250)、K18WG(Pd‐Ag5:5)、K18WG(Pd100)、K18WG(Ni150)、K14WG(NiCu)、K14WG(Pd200,Ag100,Cu100)
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