2年くらい前の話です。トリートのピンクメレーの売込みがありました。ロシアで開発された新しいタイプのトリートメントであるという触れ込みでした。
ダイヤのトリートメントはブルー、イエロー、グリーンなどが知られていますが、ピンクのトリートメントはつくるのが難しいと言われていました。安定した色が出にくいためにコストが高いことと色のタチがバイオレットがかっていてあまり美しくないという欠点が克服されていませんでした。
1/10ctのサイズだった石のカラーはファンシーピンクがぎりぎり出るかな、というくらいのかなり濃い色で(アーガイルタイプでした)メークもしっかりしていて、クラリティも悪くありませんでした。きれいなピンクトリートメレーが欲しいという要望がありましたし、この色なら市場性も十分あると考えてサンプルで仕入れました。
どういう処理がなされているかという興味もありましたので全宝協に鑑定にだしました。王水検査の承諾をしてみてもらったのですが、結果を見て驚きました。Iカラー,SI1,very goodで返ってきたのです。王水検査でピンクの色は消えてしまった、つまり、コーティングだったのです。
今年のIJTのとあるインド人ブースでこのピンクを見つけました。コーティングピンクと表示されていました。パビリオンにピンクのコーティングを施してあって、超音波洗浄器やめっき液では色は落ちないと説明していました。王水ではと尋ねると、強い酸では落ちるが、通常使用の状態では変わらないとの主張です。
ジュエリーショウで堂々と販売する商品だろうかと複雑な気持ちでした。ルーペでの判別は難しいと思います。ピンクメレーの鑑別も必要な時代が来たようです。
株式会社サノ・トレーディング
佐野良彦
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