修理やリフォームで数十年前のジュエリーを目にする機会がよくあります。ダイヤのカッティング技術は進んだな、という感想を持つことが多いです。クラリティーの良い石でもカットはイマイチというものが殆どですから。ではメレーの品質が平均的に昔より高くなっているかというと、これが違うんですね。
これは1個石にも、メレーにも言えることですが、カッティング技術は進歩しましたが使用される原石の範囲は随分広くなっています。30年前に使われていたメレーのトップとボトムの価格差はせいせい2,3倍だったと思います。今では4,50倍にはなっているのではないでしょうか。昔のメレーには真っ白い石(キズが多くてテリのない)、真っ黒い石(トリートではないカーボンだらけの)、濃い茶色の石等はあまり見かけませんでした。
合成ダイヤにシェアを奪われた天然工業用ダイヤが宝飾用に転用されるようになったことと、ジュエリーの大衆化がメレー品質の多様化を招きました。現在ではカラーもクラリティもサイズも様々なメレーが市場に存在します。どのようなメレーを使ってジュエリーを製作するか、どのような品質のメレーが使われたジュエリーを取り扱うかは宝石商にとって重要な問題であると思うのですが、意外と関心は高くないように思われます。
メレーの品質を等級分けすることをアソートまたはアソートメントと言い、1個石のグレーディングとは区別しています。1個石のグレーディングではGIA方式というスタンダードが存在しますが、メレーのアソートにはスタンダードが存在しません。業界のためにも、消費者のためにもメレーのアソートメントスタンダードを確立する必要があると個人的には思っておりますが、その件に関しては別の機会に譲ることにしてメレーの品質を見極める上で重要だと思われるポイントを述べます。メレーの品質ってなんだろう?
色、キズ、カットこれはメレーの品質を見る時に重要な要素です。と同時にメレーは複数で使われることが普通ですから使われている品質にバラツキが少ないということも重要です。真珠のネックレスで言う「連相」に共通する部分ですね。ここが1個石のグレーディングと大きく違うところです。色も、キズも、カットもいいメレーの中に低い品質のメレーが少し混じっているロットよりも、ある範囲内で揃ったメレーのロットの方が品質は上であるというのが私の考えです。
株式会社サノ・トレーディング
佐野良彦
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