昔に比べるとメレーのカットは随分良くなりました。1個石でいうエクセレントカットのメレー(ハート・キューのでるようなもの)も珍しくなくなっています。オートマティックの機械がメレーの研磨にも導入されたことがカットの向上に寄与しています。しかし、昔と同じ手磨りの歩留まりを重視したカッティングも無くなってはいません。
手磨りのメレーは品質の低いものが中心です。原石がねじれていたり、形がいびつだったりして、端正なカットに仕上げにくいという事情もありますが、原石から取れる石目を大きくするためにカットを犠牲にすることが時として行われます。この代表的カットがスケ石とゴロ石です。
スケ石というのは薄い原石からなるべく大きい石を取る際に起きる、浅い石のことです。ガードルの反射像がテーブルの中に丸く写って魚の目のように見えるところから
フィッシュ・アイとも呼ばれています。スケ石に入った光線は反射することなくパビリオンから洩れるので輝きが劣ります。
ゴロ石というのは深い石です。1個取りの原石ではパビリオンを深く取ったり、ガードルを厚く取ったり、クラウンを高くしたりして分留まりをよくすることがありますが、ゴロ石に入った光線は不適当な角度で反射して上のほうに返ってこないので、テーブルの中が黒く見える、ダークセンターになります。普通のカットの中にこの石が混じっていると回りから浮き上がって見え、全体のバランスが悪い感じになります。また、キューレットが出てしまったりします。
複数の石が使用されるメレーにおいては品質(カラー、クラリティー、カット)が揃っていることが大きなポイントになります。たとえクラリティーの高い石でもカットがまちまちでは製品に造った時に美しくありません。ハートアンドキューピッドのメレーが尊重されるのはハート・キューが出るからではなくて、カットが揃っていて石を留めた時にバランスが良いからです。
スケ石やゴロ石は1〜2ピースだから差し支えないではなくて、1〜2ピースでも美しさを損ねる、このことに留意したいと思います。
株式会社サノ・トレーディング
佐野良彦
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